シナリオ
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🎯 学習モードを選んでください
対象: 融資担当 2 年目以降 / 深く学びたい方
対象: 初めての方 / 操作の流れを覚えたい方
💬 審査は「読む」「見る」「聞く」の三位一体。
中でも最も習得が難しいのが「聞く力」。本研修はそこを磨きます。
会社概要
融資審査対象 — 基本情報 + 既存融資状況
決算書 3 期比較(PL / BS / CF)
X-2 期 → X-1 期 → X 期(当期、申告ベース)/ 単位 百万円
月次売上推移(3 期分)
月次売上 — 3 月単月の集中度に注目
勘定科目内訳 — 売掛金・棚卸資産
決算書だけでは見えない、誰にいくら売掛があるのかを確認
決算書の信頼性 — 税理士交代と決算書乖離
登場人物
融資担当者(あなた) + 2 名のヒアリング対象者 + 1 名の指導者
採点ルーブリック(森川課長 6 軸評価)
稟議書・聴取メモを森川課長に提出した時、以下 6 軸 100 点満点で評価されます。
森川課長は新人育成のメンター役。各軸を具体評価し、改善コメントと次のアクションを返します。
| 軸 | 配点 | 評価対象 | 満点条件(目安) |
|---|---|---|---|
| ① 赤フラグ発見 | 20 | EV-A〜G のうち何個発見したか + 数値根拠の明示 | EV 5 個以上 + 全て数値で言及(EV 凡例タブ参照) |
| ② ヒアリングの質 | 20 | 2 名(中川社長・白井マネージャー)の Layer 到達深度 + 資料突合の精度 | 2 名とも Layer 2 以上、白井マネージャーから Amazon アカウント健全性を引き出し業界ベンチマークと突合 |
| ③ 論点特定 | 15 | 本 CASE の核心論点を明確化したか + 相互の関連も記述 | 4 論点全て論点化、根拠 EV を接続 |
| ④ 格付見直し提案 | 15 | 格付け区分の変更提案、業況スコア減点項目を具体列挙 | 論点を格下げ根拠として論理接続、参照 EV を明示(格付け基準タブ参照) |
| ⑤ 稟議書記述 | 15 | 融資判断 + 既存融資対応 + 格付変更の 3 点セット記述、上席が読んで判断できる完成度 | 3 点セット完備、結論根拠を EV で裏付け、既存融資の保全強化策あり |
| ⑥ 融資判断の妥当性 | 15 | 新規申込の判断(承認 / 条件付 / 見送り)の妥当性 | 判断 + 既存融資保全強化 + 回収/モニタリング計画の 3 点セット |
• 70 点以上: 合格(新人レベル合格)
• 85 点以上: 優秀(若手レベル合格、本部審査部進達品質)
• 55 点未満: 再チャレンジ推奨
※ 森川課長は新人育成型のフィードバック「まず良い点を認める → 改善点を具体的に → 次のアクションを提案」を徹底するため、減点だけで終わらない講評を返します。
格付け基準クイックリファレンス
金融庁 金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)に基づく自己査定区分。本案件での想定回答は 稟議書 ④ 格付見直し提案 の項目で参照してください。
本案件の判断材料を「主な指標」列で確認しながら、稟議書 ④ 格付見直し提案を組み立ててください。
| 区分 | 格 | 定義 | 主な指標 |
|---|---|---|---|
| 正常先 | 1〜6 格 | 業況良好、財務内容に特段問題なし、今後も安定継続見込み | 債務償還年数 10 年以内、自己資本比率 健全、利益計上継続 |
| 要注意先 | 7〜8 格 | 業況低調、財務内容に問題、債務履行に懸念、経営者の誠実性に疑義あり | 債務償還年数 10-20 年、業況悪化傾向、決算書信頼性に重大疑義 |
| 要管理先 | 9 格 | 正常返済から 3 ヶ月超延滞 or 貸出条件緩和(リスケ)実行 | 延滞、リスケ実行、業況著しく悪化 |
| 破綻懸念先 | 10 格 | 経営困難、債務履行に重大な懸念、自助努力では再建困難 | 債務超過、債務償還年数計算不能、慢性的赤字 |
格付の最終判断は本部審査部・与信統括部。営業店からは格下げを「申し送り」として稟議書に記載するのが実務。本案件の核心となる EV を 1-2 個取得すれば、要注意先以下への申し送りが妥当となるケースが多い。
※ 詳細な格付定義は金融庁「金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)」、各銀行の自己査定基準を参照。本 LP は学習用の簡易版です。
証拠 ID 凡例(CASE 10)
本 CASE で取得すべき赤フラグ・証拠を識別子で管理しています。資料閲覧やヒアリングで EV-A〜G を順次発見していきましょう。採点 ① 赤フラグ発見軸では、何個発見できたかが評価されます。
資料分析で取得できる EV と、ヒアリング(キャラ別)で取得できる EV があります。関係者証言(💬)はヒアリングで段階的に引き出す証言です。
| ID | 内容 | 取得方法 | 種別 |
|---|---|---|---|
| EV-A | Amazon 売上 52%、プラットフォーム集中 | 売上構成分析 | |
| EV-B | 決済代行入金留保 +200% | 決済代行明細 | |
| EV-C | 滞留在庫 1,500 万円 | 倉庫視察・在庫年齢表 | |
| EV-D | 倉庫自動化 ROI 計画の薄弱性 | 事業計画書精査 | |
| EV-E | 短期借入急増 + 現預金減 | 決算書 | |
| EV-F | 白井「Amazon アカウント警告 2 回、出品停止経験」証言 | 白井 Layer 3 | 💬 関係者証言 |
| EV-G | EC 業界相場との乖離(自社 EC 比率 13%、現預金月商比、分散不足) | 業界ベンチマーク |
関係者証言を引き出すには威圧調・告発要求では永遠に届きません。誠実な姿勢 + 立場理解 + 段階的な質問を 3-4 ターン重ねるのがカギ(各キャラのプロフィールと panel_intro_body_html の質問例を参考にしてください)。
※ EV ラベル(EV-A 等)は資料タブ・ヒアリング想起ツール・採点ルーブリックで参照されます。
粉飾類型 凡例
中小企業地銀融資で頻出する代表 6 類型(本シミュ収録分) — メモ ① ④ で「想起される類型」として引用してください
⚠️ 他にも架空仕入・引当金不計上・簿外債務・減価償却操作など多数の類型があります。全てを網羅していません。
中小企業粉飾倒産レポート(帝国データバンク等の業界調査)、ACFE Fraud Tree(米国不正検査士協会の不正分類フレームワーク)、監査基準委員会報告書 240(不正に関するリスク対応)などを参考に、中小企業地銀融資で頻出する類型を抽出。融資審査では「異常値 → 想起される類型」を必ずペアで考えるのが定石です。
| 類型名 | 典型的な手口 | 融資審査での着眼点 |
|---|---|---|
| 期末売上押込 | 翌期出荷予定の売上を期末月(主に 3 月)に前倒し計上 | 3 月単月売上比率の異常 / 直前 2 月の急減 / 期末仕訳量の急増 |
| 売上前倒し計上 | 検収前・出荷前の案件を売上計上(進行基準悪用含む) | 納品書/検収書 vs 仕訳の日付乖離 / 売掛回収サイトの異常長期化 |
| 架空売上(循環取引) | 実態のない売上を計上、関連会社や友好取引先と循環 | 新規取引先への急激な売掛集中 / バーチャルオフィス / 入金実績なし |
| 在庫水増し / 評価減未計上 | 滞留品を簿価維持、実地棚卸を粉飾、評価減を意図的に先送り | 棚卸資産回転日数の悪化 / 売上原価伸び率との乖離 / 工場現地視察拒否 |
| 経費先送り / 仮払先送り | 当期経費を翌期に先送りし利益かさ上げ、仮払金で経費を隠蔽 | 仮払金/前払費用の異常残高 / 期末月の仕訳バランスの不自然さ |
| 関連会社利用 / 役員貸付 | 関連会社への貸付・割高賃借料・役員貸付で資金を社外流出 | 関連会社売掛/貸付の急増 / 役員貸付金の累増 / 賃借料の同業比較 |
① 赤フラグ識別では「観察 → 数値根拠 → 想起される類型(類型名)」のセットで書きます。 ④ 検証後の確定仮説では「粉飾あり判定の場合、該当する類型名(複数併発もあり)」を明記。 単独類型ではなく 複数類型の併発 も中小企業粉飾では一般的です。
📐 粉飾の 3 つの数学的メカニズム
類型を 暗記 せず、構造 で覚えるための軸。粉飾はすべて「試算表の借方/貸方を変化させて利益を増やす操作」に帰着します。下の 3 メカニズムのどれに該当するかを意識すると、初見の類型でも検出方針が立ちます。
| メカニズム | 操作内容 | 該当する代表類型 |
|---|---|---|
| ① 資産 ↑ × 費用 ↓ | 本来当期費用化すべきものを資産計上、または滞留品の評価減を見送り | 在庫水増し / 評価減未計上、経費先送り(仮払金 / 前払費用化)、未成工事支出金水増し、減価償却の過少計上 |
| ② 資産 ↑ × 収益 ↑ | 架空または翌期取込の売上を計上し、その売掛が資産に残る | 期末売上押込、売上前倒し計上、架空売上(循環取引) |
| ③ 負債 ↓ × 費用 ↓ | 本来計上すべき負債(引当金等)を計上せず、対応する費用も認識しない | 引当金不計上 / 過少計上(貸倒・賞与・退職給付)、簿外債務 |
類型名(例:期末売上押込)を覚えるのは一見便利ですが、現実の粉飾は 複数類型の併発 や 業界特有のバリエーション があり、暗記では対応しきれません。「結局どの 借方/貸方 を動かしているか」を構造で押さえると、未知の粉飾にも対応できます。
例えば「関連会社利用 / 役員貸付」は単独では利益操作ではありませんが、「割高賃借料(費用 → 負債/貸借)を関連会社で受け止め、関連側で売上として再計上」という形で ② 資産 ↑ × 収益 ↑ の発生源になります。
💡 数値メカニズム ミニ演習(3 問)
会計学の基本原理だけで解ける独自演習。粉飾の数学的構造を 5 分で体感してください(社名・数値はすべて架空)。
ある中小製造業の X 期決算で、実地棚卸額は 80 百万円 でした。経営者は「期末在庫を 100 百万円 として計上したい」と指示しました。
Q. この粉飾で計上される仕訳は何か。利益はいくら増えるか?
▶ 解答を見る
(借)期末棚卸高 20 / (貸)売上原価 20 (単位:百万円)結果:売上原価が 20 減るため、売上総利益が 20 増加。
メカニズム:① 資産 ↑ × 費用 ↓。資産(棚卸資産)が 20 増え、費用(売上原価)が 20 減って、両方利益増の方向に動く。
検出のヒント:売上原価伸び率 vs 売上伸び率の乖離、棚卸資産回転日数の悪化、工場現地での滞留品実在性確認。
ある中小機械商社の X 期末。経営者は「Y 社との取引 50 百万円 を売上計上したい」と指示しました。実際には Y 社への商品引渡しも入金もありません。
Q. この粉飾の仕訳と貸借対照表への影響、そして検出の糸口は?
▶ 解答を見る
(借)売掛金 50 / (貸)売上 50 (単位:百万円)B/S 影響:資産(売掛金)+ 50、収益(売上)+ 50 → 売上総利益 + 50。
メカニズム:② 資産 ↑ × 収益 ↑。
注意:売上・売掛が同じ金額で増えるため、決算書だけ見ると整合的に見える。
検出の糸口:
・営業 CF(現金は入っていないので CF はマイナス側に動く)
・売掛回転日数の長期化(50 が滞留)
・Y 社からの過去入金実績の確認(初回取引なら与信調査)
・納品書・検収書と仕訳の突合
ある中小卸売業の総資産は 500 百万円。経営者は「単一科目で大きく粉飾すると目立つ」と判断し、10 科目 に分散して 各 1%(5 百万円) ずつ粉飾しました。
Q. 総粉飾額はいくらで、各科目を個別に見ても気付けるか?
▶ 解答を見る
各科目単独では各 1% 増にすぎず、通常の異常値検出(前期比 +20% 等のしきい値)には引っかからない。
検出のヒント:
・営業 CF と当期純利益の乖離(現金は伴わないため CF に出る)
・複数科目の 合計 での横断分析(在庫 + 売掛 + 仮払金 + 前払費用 + 建設仮勘定 等の合算推移)
・同業他社比較 での総資産構成比の乖離
・5 期以上の長期トレンド(3 期では見えない緩やかな積み上げが見える)
→ 単一指標で見抜こうとせず、複合的に見る 訓練が必要。
※ 全 CASE 共通の凡例です。全 6 類型が全 CASE で発生するとは限りません。各 CASE では 証拠が揃った類型のみ をメモに記載してください(根拠なき類型推測は減点対象)。各 CASE のメインテーマに対応する類型 + 副次的な類型併発があります。
📚 より広い分類を学びたい方は ACFE Fraud Tree(米国不正検査士協会) もご参照ください。
💼 銀行審査担当者のためのヒアリング技術ガイド
本 LP の核心スキル。融資審査だけでなく、会計士・税理士・コンサル・記者など 事実確認を職業とする全領域 で通用する技能
本ガイドは 銀行審査担当者の立場 に特化したヒアリング技術集です。一般的なジャーナリスト技法・セラピー的傾聴・FBI 交渉術には、銀行員役には不適切なものが含まれます(時間制約・形式的役割・コンプライアンス・継続関係などの理由)。本 CASE のヒアリングはこのガイドに沿って組み立ててください。
⭐ 銀行員として効く 10 の質問技法
| # | 技法 | 例文 | なぜ効くか |
|---|---|---|---|
| 1 | 📄 資料引用質問 | 「決算書 No.7 の売掛金内訳明細にあるケーディー精工 58M ですが、回転日数 180 日の計算根拠を教えてください」 | 銀行員は資料を持っているという立場が確立されている → 資料引用が自然で抽象逃げを封じる |
| 2 | 📊 数値・期間アンカー | 「3 月単月 22%(334M)、過去平均 9.4% との乖離について」 | 具体数値が抽象逃げを封じ、銀行員の専門性も同時に示せる |
| 3 | 🔄 クロス参照質問 | 「社長は『新規 2 社は営業ルートで』と仰いましたが、田村さんは『紹介資料なし』とのこと。経理側で把握されている経緯は?」 | 個別証言の信頼性を、組織内整合性で検証する |
| 4 | 📅 時系列照合質問 | 「前期の経営計画では売上 1,200M、実績 1,520M で +27% の上振れ。当初想定にない要因は?」 | 計画 vs 実績の乖離は事業実態を映す。創作余地を限定する |
| 5 | 🏭 同業比較質問 | 「同規模の精密部品加工業では売掛回転 45-55 日が一般的ですが、御社の 77 日の要因は?」 | 銀行員の専門性を活かす。業界事実なので相手も否定しにくい |
| 6 | 💭 仮説の率直な開示 | 「正直に申し上げますと、3 月集中の主因として 期末売上押込の可能性を頭に置いています。違っていればその通りお伝えください」 | 抽象逃げを封じ、相手に正誤判定の機会を与える(訂正情報が出る) |
| 7 | 🔧 プロセス問い | 「毎月の月次決算で、売上計上の社内承認プロセスを教えてください」 | プロセス自体から矛盾が見える(「社長承認のみで証憑不要」等が露見) |
| 8 | 📑 検証可能性質問 | 「ご説明いただいた件、裏付け資料(納品書控え・検収書等)はございますか?」 | 口頭証言だけでは稟議書に書けない。資料での裏取りを促す |
| 9 | 🤔 静かな指摘 | 「決算書では棚卸 220M、内訳明細では積み上げ 145M。差分 75M があるように見えますが、私の理解が違っていれば訂正ください」 | 断罪ではなく自己訂正の機会を与える。退路をつくると説明できないと矛盾顕在化 |
| 10 | 🚪 退路つき深掘り | 「公開済みの範囲、または税務署が把握済みの範囲で結構ですので、X-1 期末の意見相違の経緯を…」 | 守秘義務・職業倫理がある相手に話せる場を作る。銀行が正当な業務として確認している枠組みを示す |
⛔ 銀行員として絶対避けるべき 12 のパターン
- 1. 直接的な不正断罪 ❌「これって粉飾ですよね?」 → 名誉毀損リスク + 関係破壊
- 2. 守秘の安易な約束 ❌「社内には言いません」 → 銀行員には本部報告義務、守れない約束はコンプラ違反
- 3. 他顧客情報の漏洩 ❌「○○製造でも似た事例が」 → 銀行守秘義務違反
- 4. 前任者批判 ❌「前任税理士は怠慢でしたね」 → 業界内で銀行の評判低下
- 5. 抽象すぎる業況質問「業況は?」 → 何でも答えられる(自由度 100%)→ 数値で挟む
- 6. 権威誇示「本部としては」「金融庁が」 → 反発を招く
- 7. Why の連発「なぜ?なぜ?」 → 詰問に聞こえる、How / What に置換
- 8. Yes/No 質問の連発「正しいですか?」 → 「はい」しか返らない
- 9. 同質問の繰り返し(3 回以上)→ 不信感増幅
- 10. 複合質問(1 質問に複数論点)→ 認知過負荷
- 11. 専門用語の連発「DCR、ICR、SDB、PD/LGD」 → 距離が生まれる
- 12. 過度な共感(セラピー風)毎ターン「お辛いお気持ち」 → 操作的に見える、信頼喪失
💡 銀行員ヒアリングの 6 大原則
| # | 原則 | 説明 |
|---|---|---|
| 1 | 資料を盾に質問する | 「裸の質問」より「資料引用つき質問」の方が遥かに強い。決算書・内訳明細・登記資料を手に持って指で示しながら聞くイメージ |
| 2 | 証言は資料で裏取りする | 口頭証言だけでは稟議書に書けない。「裏付け資料はありますか」を必ず確認 |
| 3 | 守秘の約束はしない | 「社内には言いません」は不可能な約束(本部報告義務)、コンプライアンス違反 |
| 4 | 長尺の感情労働は避ける | 銀行員はセラピストではない。雑談 5-10 分のラポール構築は OK だが、それ以上は形式的役割と不一致 |
| 5 | 継続関係を念頭に | 大半は既存顧客で次回も会う。完全な関係破綻は避ける(全力で詰めて拒絶されると次回が無くなる) |
| 6 | 断罪ではなく確認 | 「粉飾でしょう?」(断罪) ではなく「整合性に疑義があるので確認させてください」(確認)。同じことを聞くのでも姿勢が違う |
🎯 採点との関係
森川課長(レビュー担当)は本ガイドの 10 技法・12 NG パターン・6 大原則 に照らして 軸 ② ヒアリングの質(20 点) を評価します。良い質問は具体的に引用して褒め、改善余地は書き換え案つきで指摘します。本ガイドを意識してヒアリングを組み立ててください。
本ガイドは Cognitive Interview(認知面接法、Geiselman & Fisher)、PEACE Model(英国警察)、Motivational Interviewing(Miller & Rollnick)、Active Listening(Rogers)、Tactical Empathy(Voss、FBI)、SPIN Selling(Rackham)、AICPA Forensic Interview Standards 等の知見を 銀行審査担当者の立場と制約に合わせて再構成 したものです。
⚠️ 警戒シグナル チェックリスト
個別のヒアリング技法とは別軸の 俯瞰的な警戒指標。融資先全体を眺めて以下のサインが複数同時に立っている場合、深掘りヒアリングの優先度を上げる判断材料に使ってください。
| # | シグナル | なぜ警戒すべきか |
|---|---|---|
| S-1 | 社長が異常に強気(資金繰り懸念がないと頻繁に強調) | 業績が良ければ強調する必要がない。「強調」自体が懸念の裏返しのケースが多い |
| S-2 | 他金融機関の低金利提案が複数(借換攻勢) | 新規取引銀行は財務分析が浅く飛びつきがち。粉飾を見抜けない他行が条件で攻めてくる構図 |
| S-3 | 内訳明細書に新規金融機関名が増加 | 既存銀行が引き気味になり、新規行で穴埋めしているサイン。資金繰り悪化の表面化 |
| S-4 | 顧問税理士・会計士が交代(直近 1-2 期) | 意見相違による辞任の可能性。職業倫理上、粉飾を是正できず撤退するパターンの典型 |
| S-5 | 経理担当者の同席を社長が渋る | 経理側の証言と社長説明の齟齬を恐れている可能性。クロス参照を避けたい心理 |
| S-6 | 工場・倉庫の現地視察を理由をつけて拒否 | 滞留在庫・架空在庫の実在確認を回避したい。在庫水増し疑義の強いシグナル |
| S-7 | 同業他社水準と乖離する数値を「うちは特殊」で説明 | 説明の論理性ではなく「特殊性」で逃げている。検証可能性が低い |
| S-8 | 関連会社・関連取引が多い、または増加 | 利益移転・損失隠蔽の受け皿として関連会社が機能している可能性 |
| S-9 | 役員報酬・役員貸付金が増加トレンド | 同族経営では、収益力向上は 利益増ではなく役員報酬増 に表れる。逆に役員貸付増加は資金流出のサイン |
| S-10 | 短期借入金が利益増を上回って増加 | 利益が出ているはずなのに資金繰りが苦しい矛盾。粉飾利益と実態 CF の乖離の表れ |
| S-11 | 3 期だけ見ると好調、5 期遡ると赤字計上した期がある | 粉飾会社も気が緩んで赤字を出した期がある。赤字期の指標こそが実態 の可能性が高い |
| S-12 | 「内部留保で資金繰りは盤石」を強調するが営業 CF はマイナス | 過去利益 = 内部留保は事実だが、過去利益自体が粉飾なら内部留保も虚像。営業 CF は嘘をつかない |
・1 個では判定しない。3 個以上同時に立つときに本格的に深掘りヒアリングへ。
・最重要なのは S-4(顧問交代)・S-6(現地視察拒否)・S-11(長期赤字期)・S-12(営業 CF マイナス継続)。これらは単独でも要警戒。
・「シグナルが立っている = 粉飾」ではない。健全企業でも S-1 や S-9 は普通に発生する。あくまでも 深掘りヒアリングの優先度判断 に使う指標。
🔢 SDB 格付ロジック早見表
Self-Determined Borrower(自己査定債務者)区分。各銀行で重み配分は違うが、業況スコア + 財務スコアの合算で格付を機械的に算出するのが共通ロジック
Self-Determined Borrower の略。金融庁「金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)」の自己査定区分。業況スコア(質的)+ 財務スコア(量的) を合算して格付を決める方式が一般的。各銀行で重み配分(例: 業況 30 / 財務 70 や 40/60)は異なります。本ガイドは 本研修の想定 X 銀行版 です。
🏷️ 格付テーブル(本研修の想定 X 銀行版)
| 区分 | 格 | 合算スコア(目安) | 定義 |
|---|---|---|---|
| 正常先 | 1〜3 格 | 85 点〜 | 業況・財務とも極めて良好 |
| 正常先 | 4〜5 格 | 70〜84 点 | 業況・財務共に良好、本案件 初期格付 |
| 正常先 | 6 格 | 60〜69 点 | 業況やや低調 or 財務やや弱い、要観察 |
| 要注意先 | 7 格 | 50〜59 点 | 業況低調 or 財務に問題、債務履行に懸念 |
| 要注意先 | 8 格 | 40〜49 点 | 業況悪化 + 財務悪化、特に注意必要 |
| 要管理先 | 9 格 | 30〜39 点 | 正常返済から 3 ヶ月超延滞 or リスケ実行 |
| 破綻懸念先 | 10 格 | 20〜29 点 | 債務超過、債務償還年数計算不能、慢性的赤字 |
| 実質破綻先 | 11 格 | 10〜19 点 | 営業停止状態、清算予定 |
| 破綻先 | 12 格 | 〜9 点 | 法的整理、債権回収不能 |
📊 業況スコア(質的、配点 40)
| 項目 | 配点 | 主な減点要因(例) |
|---|---|---|
| 経営者の誠実性 | 10 | 決算書信頼性疑義 / 説明の整合性欠如 / 質問への論点すり替え多発 |
| 業界動向 / 市場性 | 8 | 業界全体の縮小トレンド / 競合激化 / 規制強化 |
| 主要取引先 / 与信集中 | 8 | 1 社依存度高 / 親事業者の業況悪化 / 新規取引先の与信不明 |
| 競争力 / 製品優位性 | 6 | 差別化困難 / 価格決定力なし / 技術陳腐化 |
| 事業承継 / 経営体制 | 4 | 後継者不在 / 経営者高齢 / ガバナンス欠如 |
| 従業員 / 組織 | 4 | 離職率高 / 専門人材不足 / 労務管理不備 |
📈 財務スコア(量的、配点 60)
| 項目 | 配点 | 満点条件 / 減点目安 |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 12 | 50% 以上で満点 / 30% 未満で半減 / 20% 未満で大幅減点 |
| 債務償還年数 | 14 | 5 年以内で満点 / 10 年超で減点 / 計算不能で大幅減点 |
| 営業利益率 | 10 | 業界平均以上で満点 / 赤字で大幅減点 |
| 営業 CF / 純利益 整合 | 8 | 営業 CF と純利益が整合 / 大幅乖離は P/L 信頼性疑義として減点 |
| 運転資本回転(売掛・棚卸) | 8 | 業界水準内 / 急変動・水準超過は減点 |
| 金利負担能力(ICR) | 4 | 営業利益 ÷ 支払利息。3 倍以上で満点 / 1 倍未満で大幅減点 |
| 有利子負債 / EBITDA | 4 | 3 倍以内で満点 / 6 倍超で大幅減点 |
「業況スコア」「財務スコア」のどの項目を何点減点したか、理由とセットで列挙。
例:
・業況スコア: 経営者の誠実性 △6 点(理由: 決算書信頼性に疑義 + 説明整合性欠如)
・財務スコア: 自己資本比率 △6 点(実態 30% 未満) + 債務償還年数 △10 点(計算不能)
合計 △22 点 → 75 点(現行)→ 53 点 → 要注意先 7 格
※ 各項目の正確な配点は銀行ごとに異なります。本タブは学習用の目安です。
🔧 既存融資対応 実務ガイド
稟議書 ⑥ で「既存融資対応」を書く際の判断基準と実務ヒント
既存融資対応は「(a) 当座貸越枠の取扱い / (b) 既存タームローンの取扱い / (c) 担保 + モニタリング」の 3 領域で組み立てます。粉飾疑義レベルに応じて段階的に強化します。
(a) 当座貸越枠の取扱い
| 状況 | 標準対応 | 留意点 |
|---|---|---|
| 粉飾疑義なし、業況良好 | 枠維持 | 定期見直し時に増減 |
| 業況やや低調、疑義は限定的 | 枠維持 + 期中モニタリング強化(月次試算表提出) | 「期中モニタリング条件」を稟議書に記載 |
| 粉飾疑義あり、確認中 | 枠減額(例 5,000万 → 3,000万)or 段階的に圧縮 | 取引先への急激減額は関係破壊。事前協議 |
| 粉飾疑義濃厚 + 既往未払いあり | 枠即時凍結 + 既往返済優先 | 同業他行も同調する可能性あり、横並び監視 |
| 破綻懸念先相当 | 枠停止 + 期日繰上請求も検討 | 本部審査部 + 法務部協議必須 |
(b) 既存タームローンの取扱い
| 状況 | 標準対応 | 留意点 |
|---|---|---|
| 期日内返済が見込める | 履行モニタリング(資金繰り表月次提出) | 強化条項を追加するなら覚書を新規作成 |
| 期日延長要請がある | 条件変更稟議(担保再評価必須) | リスケ扱いになると「要管理先」格下げトリガー |
| 粉飾疑義 + 期日内返済不安 | 担保再評価 + 増担要請 + 経営者保証強化 | 増担要請は経営者の反発を招くので調整必要 |
| 破綻懸念先相当 | 期限の利益喪失通知 + 法的整理視野 | 本部 + 法務部 + 弁護士協議必須 |
(c) 担保 + モニタリング
| 項目 | 判断基準 |
|---|---|
| 不動産担保 再評価 | 路線価 or 市場価格再算定 + 掛目見直し(平常時 70% → 疑義時 50%)。粉飾疑義濃厚なら直近 1 年以内に再鑑定取得 |
| 売掛債権担保(ABL) | 架空売掛の可能性があれば実質無価値扱い。新規 ABL 設定は粉飾疑義中は控える |
| 在庫担保(ABL) | 水増し疑義中は実質無価値扱い。実地棚卸後の正味簿価で評価 |
| 経営者保証 | 経営者保証ガイドライン適用要件を再確認。粉飾疑義中は保証維持・強化が原則 |
| 資金繰りモニタリング | 月次試算表 + 資金繰り表 + 主要取引先別売掛回収実績 を月次提出させる |
| 自己査定申し送り | 次回自己査定での格下げ可能性を稟議書に記載(「次期で要管理先 9 格 or 破綻懸念先 10 格への格下げ可能性」) |
以下のテンプレで書くと上席が判断しやすい:
当座貸越: 現枠 X 千万円 → 提案 Y 千万円(理由: 粉飾疑義 + 期中モニタリング強化)
既存ターム: 残高 X 億円。期日内返済をモニタリング条件「月次試算表 + 資金繰り表提出」付で履行
担保: 不動産担保再評価(掛目 70% → 50%)+ 経営者保証強化
モニタリング: 月次試算表・資金繰り表・売掛回収実績を提出。次回自己査定での格下げ可能性も申し送り
判断根拠: 実態財務試算で営業 CF X M、債務償還 Y 年(or 計算不能)→ 履行に重大懸念
※ 具体的な掛目・閾値は銀行ごとに異なります。本ガイドは学習用の目安です。実務では各銀行の与信規程を参照してください。
使い方
この画面を最大限に活用するには
基本のフロー(現場の流れを再現)
- 左サイドバーから 「会社概要」 を選び、対象企業を把握する
- 右上の 「作業パネル ▶」 をクリックして右側にパネルを展開
- 作業パネルで 💬 ヒアリング タブを開き、関係者に質問しながらメインの資料を読む
→ 現場の「関係者ヒアリング」に相当 - 質問中に気付いたことを 📝 メモ タブに即書き込む(自動保存)
→ 現場の「稟議書(案)起案」に相当 - メモが書けたら ✅ レビュー タブに切り替えて、レビュー担当(AI) に見てもらう
→ 現場の「支店長決裁 + 本部審査部進達前の課長レビュー」に相当
よくある質問
はい、書いた内容は自動的にブラウザに保存されます(localStorage)。同じブラウザで戻ってくれば続きから書けます。
何度でも可能です。作業パネルの 🔄 ボタンで会話をリセットできます。ただし API コストがかかるため、運営では一定の利用制限を置く場合があります。
使えます。画面が狭い端末では、作業パネルが下から出てくる「ボトムシート」形式になります。可能であれば PC 推奨。